【kindleで読めるおすすめ本】感動!そして勇気が出る一冊「裸でも生きる2」

山口絵理子さんは、株式会社マザーハウスの代表取締役兼デザイナーをされている起業家です。
「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもと会社を起こし、波乱万丈の人生を歩まれています。
この本は、山口さんのエッセイともいえる作品の2作目で、1作目も非常に感動しました。
「これってほんとうの出来事なのか?」と思うほどにスリリングで感動でき、勇気をもらえる作品でした。
その作品への記事もよければご覧ください。

アジア最貧国といわれる「バングラデシュ」で自前工場でバッグを生産し販売しています。
そのバングラデシュの話がもう想像をはるかに超えます。
ここまで人に裏切られるのか?というほどにそんな、山口さんのその後を描いたエッセイ2作目。

勝手な想像で申し訳なかったのですが、安泰どころかさらに波乱を極める内容でした。
ただ、この2作目のメッセージとしては、「関わったメンバーへの感謝」が私のこころにふかく突き刺さりました。

それではご紹介いたします。

書籍情報

裸でも生きる2 Keep Walking私は歩き続ける

発行日:2016年12月1日

著者 :山口絵理子

発行者:鈴木 哲

発行所:株式会社講談社

前提として知ってほしい「山口さん」のハングリー精神

2005年、山口さんは「将来はお店を持ちたい」とひとりバングラデシュのアパートでスケッチブックに書いていました。
知識も技術もノウハウもなかった山口さんは、何百何千人という人たちにバカにされてきました。
「絶対に無理だ」
「やめておけ」
「成功するわけがない」
と・・・。
夢を語れば批判される日々を歩んでこられました。
「えんとつ町のプペル」を見て感動した人なら同じく感動します。

批判されるたびに悔し涙をうかべ、それをばねに自分を奮い立たせてきました。
そして、数々の窮地を乗り越えてようやく自前工場生産したものを日本で販売するまでになりました。

その様子はいたるところで感動を呼び、応援したいという人が集まりテレビやネット記事にものりました。

情熱大陸への出演


あの葉加瀬太郎の音楽でお馴染みの「情熱大陸」
その番組に出演したことがあるんです。

ただ、山口さんはやっぱり山口さんらしくて、その情熱大陸の密着取材に対して
「私はテレビに映るような人生を歩んできたわけでもないのに」とむしろ精神的に追い詰められていました。
そんな山口さんに対して、副社長の山崎さんが送ったメールの内容がとても素敵でした。
「言いたいことを言ったらいいんだよ。背伸びする必要もないし、みんなが知りたいのは本当の山口の姿でしょう。だったら、思ったことを伝えたらそれでいいんだ」
感動しませんか?この言葉。
本書を通じて私は山口さんのファンにもなりましたが、副社長の山崎さんのファンにもなりました。
文中、山口さんはなんども山崎さんへの尊敬の意を伝えられています。

山崎さんは、慶応大学時代の山口さんの先輩で、卒業後「大手外資金融会社のゴールドマンサックス」でバリバリに活躍されていた方です。
山口さんの起業をきっかけに、その身を投げうってマザーハウスに入社されます。

その情熱大陸での印象的な山口さんの言葉です。

絶対に私、第二第三の情報って頼らないんですよ。本に書いてあるとか、人から聞いたとか、だってそれって間違っている可能性あるし、それって主観じゃないですか。
たとえば途上国が貧しいとかっていうのも、国際機関が素晴らしい機関だっていうのだって、そんなのは誰かの誰かの誰かの話であって、絶対自分の目で見たことしか信じれない。
で、結局だって、その第二第三の情報を信じて進んで最終的に「違った」って思ったときに誰を責めるの?っていったら他人になっちゃうじゃないですか、環境になっちゃうじゃないですか。
でも自分で見たことを見たことをもとに決断をしたら、自分の責任であって失敗したって後悔しない。

山口さんは、どんなことがあっても必ず現場に足を運び見聞きしとことん納得いくまで話を聞く姿勢が本当に素晴らしいです。
ここに山口さんの魅力の本質があるんだなあと感じましたし、関わる人が影響される理由もうなずけます。

メディアに出演することで起きた悩み

そんな山口さんだからこそ、多くの取材オファーが舞い込んできました。
当然日々忙しい業務をこなしながら、取材もこなすスケジュールです。
嬉しい内容なんですが、さすがは山口さん!疑問が沸々とわいてくるんです。それは・・・

私が表に出ることが良いことかわからない。取材を受ければ受けるほど「創業ストーリー」や「戦う女性、山口絵理子」がいて
みんなが注目するのは「バッグ」ではなくて、「山口絵理子」でした。そんな自分に対して、嫌悪感が増していきました。

ただ、そんな葛藤にも山口さんは自分が注目されることを「副作用」という表現で、途上国のことや可能性を少しでも知ってもらうことが目的だとしたらと
逃げていた自分に対して、悩みながら出した答えでした。

本当のどんなときも人のことを思い客観的に物事を見られる方なんだなとつくづく尊敬させられます。

第2の国ネパール 絶望と再生の果てに


バングラデシュを立ち上げてから、衝撃のスピード感で第2の国を立ち上げます
それがネパール。ネパールは知れば知るほど、バングラデシュより問題が深いんじゃないかと思うくらい闇がありました。
たとえば、労働者がとあるときに賃上げを要求したりします。そしてそれに会社側が応じないと会社を潰すと脅迫するんです。
実際にそういった光景はめずらしくないらしく、ストライキは日常茶飯事・・・。
そんな闇の深いネパールでの開拓なのです。
それでも見つけた、ダッカ織という技術。素材というよりはネパール独自の技術が主体の商品です。
やっぱりそれでも待ち受けていた試練。
専門の工場を何とか見つけここなら生産できると、工場に入り浸りバングラデシュと同じように親身に生産までこぎつけます。
そこにきて・・・まさかの裏切りが発生するんです。
気持ちも一丸となってチームの雰囲気も最高だと思ったときの工場責任者からの裏切り・・・。
「きみたちは、私たちの工員を奪おうとしているんだろう。」と。
山口さんは絶句です。あまりの態度の急変に恐怖さえ感じました。がしかし、その恐怖は本物となるんです。

それが・・・「脅迫」
一旦話にならないと翌日に再度話をするとなりました。
が、関係する者たちへ知らない番号からの脅迫電話がかかってきたのです。
協力者がひとりまたひとりと逃げるように去っていきます。
そして、ついに山口さんの携帯にもかかってきます。
その犯人は・・・なんとその工場の信頼していた工員のひとり・・・。
山口さんは言葉がでません。あんなに、あんなに・・・。信じてなんとかここまでみんなでやってこれたのに。。。と。

こんな裏切りがあっては続けていけません。
さすがの山口さんもネパールから離れようとしました。
ですが、ずっと「心に残っていたもの」
それは、残された工員たちへの思いです。

ほんとに家族同然に接してきました。だからこそ関係性ができあがり。この人たちのためにもマザーハウスを通じてなんかという思いがありました。
その思いが捨てきれず。再起を誓い、実現するんです。今もマザーハウスのホームページには「ネパール」文字がちゃんとあります。涙

マザーハウスのメンバーへの期待と愛情


どのスタッフも、山口さんが心から信頼し、純粋に「大好きな」人間たちばかり。
そんなスタッフのことを紹介したページがあります。
その中には、そのスタッフとのエピソードやかける期待と思いなどが本当に込めれれていて・・・泣きます。

入社の時の事、商品開発でもエピソード、何気ないやり取りの一言一言。すべてがジーンときます。

そんなチームマザーハウスのことを山口さんはこう表現しています。
「見栄や変なプライドがある人は一人もおらず、お客様からお菓子などをいただくと子どものように「わーい!」と喜んでいる。
みんな一人で何役もこなしながら、変化を恐れず、笑顔を忘れないところが私は大好きだ。」

もう入ってみたくなるくらい良い雰囲気なんだろうなと思います。

まとめ


いかがでしたでしょうか。
ほんとうに落ち着くことがなく、一難去ってまた一難状態です。
一難どころじゃないとは思いますが・・・。
だからこそ、魅力があり人を惹きつけ商品への愛情も絶えることがない。
そうした循環で生まれる良いアイデアと良い商品。
指示される理由はやっぱり「熱意」と「愛」なんですね。

さいごまでお読みいただきありがとうございました。
私も頂いた熱意と愛を忘れず精進していきます。


ともまる